+照れ屋の照れ隠し
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「…なんのまねですか、芭蕉さん」




ある宿の一室。私こと松尾芭蕉は旅疲れを癒すべく早々に睡眠をとろうと布団へ横になる弟子を押し倒していた。先程から曽良くんが物凄い形相で睨んでくるが決して私が悪いわけではない。

丁度一ヵ月前、所謂初夜を迎えた日以来曽良くんはどんなに私が誘っても其の誘いに応じることは無かった。流石に彼を無理矢理組み敷いてまで事へ及ぶ気にはならず、今まで渋々ながら脆い理性を駆使し我慢してきたが…もう限界。大体無防備な曽良くんにも原因があると思う。




「ね、曽良くん…いい?」




耳元へ唇を寄せ成るべく低い声で囁くと微かに跳ねる目の前の身体。ああ、可愛い。




「っ、退きなさい。断罪しますよ」



「…今の曽良くんに出来るの?」




言葉と共に振り上げられた片手を押さえ込む。でも力じゃ君に適わないことを知っているから、すかさず顔を近付け耳椨を舐める。瞬間ぴくりと反応した身体から力が抜けていくのがわかった。




「ぁ…っ」



「耳、弱いんだ」



「違…っ、ん」




くすくすと笑いながら囁けば途端に羞恥から真っ赤に染まる顔。普段見ることの無い其の表情に気を良くした私は耳椨を一度甘噛みしゆっくりと舌を下降させていく。やがてたどり着いた首筋へ軽く音をたて吸い付き幾つも痕を残す。これは所有印、曽良くんは私のだよ。




「や…っ、痕…のこさないで、くださ…っ」



「ダメ。それにもう沢山付けちゃった」



「この、馬鹿じじぃが…っ」



「君、今の状況わかってる?」




苦笑混じりに問い掛けながら拘束していた手を解くと胸元へ片手を忍ばせ微かに高度を増し主張する突起へ触れる。




「ふ…っ、あ」



「ほら、曽良くんのもう固くなってるよ」



「だま…れ、っあ…ん」




片側の突起を指の腹で強く擦りながら空いている突起へ舌先を這わせば途端により一層曽良くんの口から霰もない喘ぎ声が漏れだす。その声に混じり時折聞こえる悪態。本当に強情だなぁ。




「…気持ちいい?」



「っ、…あ、ぁっ」



「そろそろこっちも限界なんじゃない?」




一度突起から顔を離し密かに主張し始める曽良くんの自身を下着ごしに撫で上げれば切なげな声が頭上から聞こえた。ふと視線を向けた先に羞恥から顔を真っ赤にし嫌々と首を左右に振る彼の姿。瞬間私の薄い理性の糸はぷつりと切れてしまった。

ああもう!曽良くんが悪いんだよ、そんな顔して私を煽るから!




「やっ、ん…っあぁ!」



「嫌じゃなくていいでしょ、曽良くん」



「ひっ、あ…待っ、ふっ…あぅ」




悪いけど私も余裕が無い。性急に下着を取り払えばいつの間にか一息纏わぬ姿になった彼を見つめつつ自身を根元から激しく扱く。びくびくと跳ねる相手の身体に限界が近いことを悟り自身への刺激を止めぬまま耳元に唇を寄せる。




「イッて…曽良くん」



「ひぁ、あぁああ!」




自身の先端に爪を立て軽く抉るように尿道を刺激する。瞬間甲高い声が室内へ響き渡ると共に飛び散る白濁。浅い呼吸を繰り返しながらくたりと布団へ寄り掛かる彼の腹へと付着したそれを指先にて掬いあげぺろりと舐める。うん、曽良くんの味がするね。




「そんな、汚い…もの、舐めないでください…っ」



「汚くないよ、曽良くんのだもん」



「っ、馬鹿が…」




気恥ずかしさから赤く染まった顔をそむける彼を視界の端へ捉えつつ後孔へつぷりと白濁で濡れた人差し指を入れていく。油断していたのか曽良くんは慌てた様子で此方へ視線を向けるも時既に遅し。ごめんね、松尾もう我慢できそうに無いから。




「や、ばしょ…さっ、ぁ」



「可愛い、曽良くん」



「ひっ、ぁ…あっ、ん」




ぐちゅとなんとも卑猥な音が室内に響く。いくら真夜中だといっても襖一枚隔ててある廊下にいつ人が通りがかるかわからずひやひやするがそれもたまにはいいかもしれない。一本、二本と指の数を増やしていくなか前立腺へと忘れず刺激を与えれば彼の背が仰け反る。




「ひ、ん…っあ、ぁあ」



「そろそろいいかな」



「…ぁ、っ」




先程から続いていた曽良くんの痴態によりいつの間にか熱く盛った自身を取出し物欲しそうにひくつく後孔へあてがう。これから行うであろう行為に不安の色を隠しきれずにいる彼に大丈夫だよと出来るだけ優しく微笑めば少しは安堵したのか身体の緊張が解けるのがわかった。其の瞬間を見逃すことなくゆっくりと奥へ自身を埋めていく。




「ぁっ、ぁ…あ」



「ん、きつ…」




これは…予想以上に狭い。気を抜くと達してしまいそうな感覚に陥りながら一気に腰を押し進める。苦しげな吐息をもらす曽良くんに気付き今さらながら罪悪感が込み上げてきた。




「曽良くん、…大丈夫?」



「…いいから、さっさと動いて…すませなさい、っ」



本当はつらいくせに強情な弟子男は色気もへったくれも無い命令口調で言葉を吐き捨て涙の膜を張った瞳で私を睨み上げる。その姿は思わずぞくりとするほど綺麗で妖艶だった。




「っ、ごめん…曽良くん」



「ひ、ぁあ、いきな…りっ、ン」



「ふっ…曽良く、…曽良くん、っ」



「や、ぁ…っく、ばしょ…さ…っぁあ」




お互い限界が近いことを悟りながらもっともっとと彼を求めて止まない身体は腰を打ち付ける速度を徐々に早めていく。最早曽良くんは意識を保っているのがやっとらしく私の背に手を回し必死にしがみついている。可愛いな、ちくしょう。やがて後孔からギリギリまで自身を引き抜き一気に奥を貫いた。




「ひ、っあぁああ!」



「…っ、く」




大きく仰け反る身体に呼応するよう彼の自身から吐き出される白濁。絶頂を迎え一層強くなった締め付けに耐えきれず私も大量の白濁を遠慮無く彼の内部へ放った。




「曽良くん、好き…大好きだよ」



「……ばしょ…さ、」




疲れから曽良くんの意識が途切れる寸前何気なく呟いた睦言に僕も…と、か細い言葉が聞こえた気がした。






---------------



「あのー曽良くん?」



「…単なる椅子の貴方に発言の機会を与えた覚えはありませんよ」



「あんまりドゥ…」




事後汚れた彼の身体を拭き簡易的な片付けをすませ眠りについた私は朝起きると早々に曽良くん専用の椅子へと早変わりしていた。未だ覚醒しきれていない思考の中目の前で私の腹部に座し悠々とお茶を啜る弟子を見上げる。いつもと変わらぬ雰囲気の中に潜む怒気。思わず慌てて謝罪の言葉を連ねる。




「あ、あの…怒ってる、よね」



「別に…怒ってませんよ。」



「え…そうなの?
だ、だよね!なんだかんだ曽良くんも松尾のテクに骨抜きだったし」



「ただ余りにも腰が痛いので、間違えて芭蕉さんの顔に淹れたての熱いお茶をかけてしまうかもしれませんね」



「ヒヒィン!やっぱりめっちゃ怒ってる!!」




淡々とした声音で告げられた言葉に冷や汗が伝う。一方の曽良くんはそんな私の反応を特に気にすること無く優雅に茶を啜っている。昨日の今日であるため曽良くんのお許しが出るまでとりあえずこの態勢で待機することになった。うう、師匠の威厳はどこに…。




「ねぇ、曽良くん…」



「…なんですか。ああ、今すぐ顔から茶を被りたいならお手伝いしますよ」



「違うよ!恐ろしいこと言うな、もう!!」




相変わらずの悪態に慌てて反論の言葉を告げ、わざとらしく残念そうな顔をする弟子に苦笑。でも…どうしても彼に聞いておきたいことがあった。ずっと、ずっと気になっていたこと。




「もしかして、無理に…合わせようとしてない?」



「…どういう事ですか?」



「ほら、曽良くんさ…初めて君を抱いた時から随分私のこと拒んでたでしょ?…昨日もなんだか無理矢理って感じだったし」



「……………」



「だから、その…本当は私のこと嫌いなんじゃ、っ熱ッ!!」





不意に曽良くんが持っていた湯呑みが傾けられ少量の茶が私の胸元にかけられる。熱湯でなかったのはせめてもの救いだけど熱いものは熱い。年甲斐もなくギャーだのワーだの騒いでいると今度は私の脳天に断罪チョップが振り下ろされた。



「ちょっ、曽良くん!?」



「…貴方は本当に馬鹿ジジィですね。僕が好きでもない人と、あんな事すると思ってるんですか」



「それって…」




断罪を食らわされた頭を撫でながら吐き捨てるよう告げられた言葉の意図を一瞬で理解する。私から故意に顔を逸らしているが耳が赤い。ああ、そうか…忘れてた。曽良くんは、




「照れ屋だもんね」



「…誰が照れ屋なんですか?」



「え、だから曽良く…、わーっ!嘘、嘘だから殴らんといて!!」



「もう遅いです」




再度脳天に走る鈍い痛み。ヒヒィン!と奇声をあげ泣きながらもそこには先程告げられた鬼弟子の言葉に心底安堵した己が居た。















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このサイトでは初裏です^^
最初は閻鬼で書こうと思ったんですが、いつの間にか芭曽に←


部下組は基本照れ屋ですが曽良くんが顔真っ赤にして照れてたら萌えますよね!←

芭蕉さんは鬼畜でもいいなーと思いまs(^^)
次はもっと過激な裏を(殴
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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