+甘い嘘
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鬼男くんは優しい。いや、そんなことこんな我儘な俺に毎日付き合ってる時点で今更だと思うけど主張せずにはいられないほど俺は鬼男くんという一つの魂に依存してる。だから、だからこそ不安になる。彼がいつか、輪廻の輪へ戻る時はたして俺は笑って彼を送り出すことが出来るのか。鬼男くんを手放すことが出来るのか。





「大王?」





ふと聞き慣れた声音に呼ばれて我に返る。俺のすぐ下から聞こえてくる荒い息遣い。俺は鬼男くんと身体を繋げている最中に考え事をしていたらしい。中途半端に行為を止めてしまった為解放されることの無い熱に耐えながら不安げな眼差しを向けてくる。




「だ、いお…っ」



「ごめんね、鬼男くん」



「っ、あ…ぁ、ん」




謝罪の意を込めて告げた言葉と共に止めていた行為を再開し奥へ奥へと腰を押し進めていく。待ち望んでいたように仰け反る身体。褐色の肌には薄ら汗が滲んで見える。ああ、本当に綺麗。また俺は鬼男くんに依存していく。




「っやあ、待ってくださ…っひ、ん」



「鬼男くん?」



「は…っ、ぁ」




相手の急な制止を怪訝に思いながらにこりと微笑み一度動きを止める。生理的な涙が伝う頬へ顔を近付けその筋を辿るよう舌先でなぞれば瞬間、俺の首もとへ腕を回され勢い良く抱き締められた。普段鬼男くんから抱き締められることなど滅多に無い為思わず呆気にとられる俺に鬼男くんは擦れた声音で言葉を続ける。




「どうして、」



「ん?」



「っ、どうしてそんな顔…してるんですか」



「え…」




予想外の言葉に目を見張る。え、なに…俺、そんなにおかしな顔してるのかな。ゆっくりと首もとから離される腕。やっと視界に映った鬼男くんの顔は今にも泣き出しそうに歪んでいた。




「君こそどうしたの、その顔」



「…アンタが変な顔してるからですよ」



「変て…」




いつも通りの悪態に苦笑を浮かべる。決まり悪くふいと顔をそむけてしまった彼をあやすように銀色の髪を何度も撫でながら言葉の先を促す。やがてこちらへ顔を向けた鬼男くんは変わること無く泣きそうな表情を浮かべていた。




「大王…僕が居ますから」



「鬼男く、」



「大王のそばに、必ず居ます」





うわごとのように繰り返される言葉。ああ、そうか。彼は気付いてしまったらしい。本当は鬼男くんと離れることが寂しくて寂しくて寂しくて、だけど伝えることが出来ない。これは単なる俺の我儘。彼を困らせたくないと適当な理由をつけて押さえ込んできた本心。でも、本当は違う。口に出してしまえばもう彼から抜け出せないから。彼が消えればきっと俺は狂ってしまうから。

なのに、目の前に居る愛しい人はいとも簡単に俺の心を崩していく。





「鬼男く…っ、」



「…なに泣いてるんですか、大王」



「お願い、俺から離れないで。一人にしないで。一緒にいて」





そんなの無理だとわかってる。わかってるのに涙を拭う暖かい手に促されるまま息急き切って止まらない言葉。鬼男くんは俺の言葉一つ一つにはいと頷いてくれる。




「僕が…アンタを一人にさせるわけないだろ」



「かっこいいね、鬼男くん」




へらりと笑いながら返事をするけどなんの迷いもなく告げられた言葉が本当に嬉しくて彼の身体を強く強く抱き締めた。



ああ、もうこの甘い嘘から抜け出すことは出来ない。











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なんかもう色々とすみませn←

閻魔と鬼男くんはお互いがお互いに依存しあってる感じです。

微裏といいつつ微裏にもなってなくて申し訳ないです'`←
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