小説

☆Turn Dead
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それは、半月の出来事。




夏が終わり、9月。


新学期が始まった。


文化祭が始まるまで、約2週間。


当然クラス内も準備で忙しくなる。



その中でも後藤哲哉(ごとう てつや)はみんなの中心となって働いていた。



と言うより働かされていた。



「ほーらぁ後藤!!そこ違うってばぁ」


黒海ルナ(こくみ るな)が指図してきた。


元々後藤がこうして働き詰めになっているのはルナが後藤を無理やり文化祭の実行委員に立候補させたからである。


ちなみにクラスでカフェテラスをやろうと言い出したのもルナだった。


いつもこんな感じなので、後藤はもう逆らうことも忘れていた。


「そこのリボンはピンクにしてって言ったでしょ!!なんで青なのよ!?」


ルナは偉そうにキーキー言った。


でも確かに設計図を見たら間違えていた。


「あっごめん。後で直しとくよ」


「後じゃなくて今直しなさいよ!!」


あくまで命令口調だった。

そんなルナの肩にぽんっと手が置かれる。


「後藤に構ってないでお前も自分の仕事やれって」


一関賢(いちのせ けん)が後ろに立っていた。


彼はクラスの級長なので全体をまとめることが仕事だった。


なので、後藤の周りばかりふらふらしてたルナが目についたのだろう。


「うっさいわよ!あんただってさっき彼女と話してたでしょ」


「あれは湖戸沢が注文の数確認してくれって言うから…」


級長と湖戸沢乃絵(ことさわ のえ)が付き合っているのは周知の事実であり、乃絵が可愛いので級長が疎まれることもしばしばあった。


「口実はいいってば」


「口実じゃねーよ!!別に話してるの湖戸沢だけじゃねーし。そもそも湖戸沢と一緒にいたいならこっち来ないから」


正論を言われてルナがちょっと黙った。


その後、逆ギレをする。


「っわかったわよ!!仕事やればいいんでしょ、やれば!!」


そう言うなり乃絵のほうに大股で歩いて行ってしまった。


「よくあんなおっかないのに付き合ってられるよな」

賢は後藤にボソッと言った。


「…はは」


後藤はちょっと笑っただけだった。


「あとちょっとお節介かもしれないけど…そこ、そもそもリボンじゃなくて星だから」


後藤が飾りつけてたところを見て賢は言った。


結局後藤はかなりの量をやり直すはめになった。











「…こんだけ間違えられるのもある意味才能だよね」


今度は自分の仕事が終わった何人かの男子に手伝ってもらっていた。


頑張ってひとつひとつの星を作るのは1人ではあまりにも時間がかかりすぎるからだ。


「みんなごめんね」


後藤がぺこっと手伝ってくれてる人たちに頭を下げた。


とたんに頭をぺちっと叩かれた。


「謝る暇があるならやれよさっさと」


笑いながら男子の1人の菱島鷹之(ひしじま たかゆき)が言った。


彼とは長い付き合いで幼稚園の頃からの仲だった。


「悪い…」


その言葉にもう一度叩かれるなんて後藤は考えていなかった。


「だからやれって言ってるだろーが」


その繰り返しに周りの人も一緒に笑う。


準備だけでこんなに楽しいんだ。


本番はもっと楽しくなるんだろうなと後藤は思った。

そのときだ。


後藤の携帯が鳴り出したのは。


「おー鳴ってるぞ、後藤。良かったな先生いなくて」

後藤は周りをキョロキョロ見て先生が来ないか確認してから携帯を開いた。


メールが1通。


差出人は柊叉夜里(ひいらぎ さより)となっている。

あんまり話さない、おとなしくたまに何を考えてるかわからない人だった。


内容は「今から校長室に来れませんか??」となっている。


…校長室!?


「柊とか珍しいじゃん」


後ろから菱島が覗きこんできた。


「人のメール見るなよォ」


あわてて携帯を閉じる。


「ちょっと行ってくるわ」


後藤は携帯だけ持って立ち上がった。


「あっずりぃ!!当人が抜け駆けとか!!」


すかさず菱島が言った。


「あ…じゃあやるよ」


再び後藤は腰をおろした。

その姿に一同は爆笑した。

「冗談だよ、後藤!行ってこいよ校長室に怒られにさ」

また爆笑が起こる。


後藤は顔を赤らめてそそくさ教室を出て行った。











多分文化祭の決めごとか何かだろう。


そう思っていた。


だが何か悪いことでもしたのだろうか、とも思わないではいられなかった。


だって校長室って…


記憶にはないが向こうに知らず知らずの内に何かしてしまったのかもしれない。

まあそう話したこともあまりないのだが。


そんな風に考えながら歩いていたらいつの間にか校長室の前まで来ていた。


少し緊張する。


校長室って…


後藤は緊張しながら扉をノックした。


…返事はない。


もう少し強めに叩き、「失礼します」と言った。


すると、返事の代わりに扉が開いた…。



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